フジコーポレーション株式会社 加藤 広嗣

Guest Profile

加藤 広嗣(かとう・ひろつぐ)

早稲田大学第一文学部卒業。福武書店( 現ベネッセコーポレーション) 入社。経営企画部署で組織改革に従事したほか、営業本部にて全国各支社の変革活動を支援。1998 年に独立、その後、変革人材の育成を支援するフジコーポレーション(Fuji Corporation) 設立。エグゼクティブ・コーチング等経営を担う次世代ビジネスリーダーを支援し、個人および組織行動の変化を創り続け、数多くのメディアにて、『「伴走する育成」で数多くの成功例をもつプロ』として取り上げられる。著書に『「脳タイプ」を知って部下を伸ばす最強リーダー3つの極意』(幻冬舎)がある。

特集【スペシャル企画】フジコーポレーションの実践力

1.集合研修+コーチング面談で 次世代リーダーを「覚醒」させる

企業を取り巻く環境変化が著しい。
チームを束ねるリーダーたちが抱える課題は多様化し、
従来の手法では解決できない難題も増えている。
そうした中、フジコーポレーション株式会社が提供する
リーダー育成プログラムは、採用企業や受講者から実践的な研修として
高い評価を得ている。同社代表取締役加藤広嗣氏に、
本誌で数多くの中小・ベンチャーの現場を見てきた編集部・兵藤雄之が
リーダー育成の現状と課題解決に向けた取り組みについて聞いた。

2.対談"はじめ"

H 加藤社長は、さまざまな企業の課題解決をサポートされていますが、現在、企業はどのような問題を抱えているのでしょうか?
K わたしが企業様にお伺いさせていただいたとき、人事のかたに、最初に「御社の課長さんたちはお元気ですか?」とお尋ねします。皆さんご活躍されているようでしたら、「はい、元気に頑張ってくれています」と答えが返ってきますよね。でも、そうではありません。現在は、新入社員を含めた若い社員や、年上の部下を含めて、多様なメンバーにどのように働きかけ、チームが担っている目標を実現していけばよいか、迷っているかたが非常に多くなっています。
H それは大企業でも中小でも同様ですか。
K どの企業でも、同じ課題を抱えています。30代半ば~40代前後の人たちが、チームが担う戦略戦術を組み立て、多様化したメンバーに適切に働きかけていかないと、目標実現へのプロセスが機能せず、混乱が続きます。待ったなしの状況なんです。
H たしかに。時代を取り巻く環境の変化が激しいですし、ダイバーシティの問題もあります。
K 昔のように、自分が育てられたやり方を踏襲していけばうまくいく……という時代ではなくなっています。部長クラス以上のかたも、課長にやり方を教える余裕がありません。その上、異質な人たちの集まりをうまく動かしていかなければなりません。どうしようかと思って上に相談しても、それがきみの役割だろと言われてしまうため、誰にも相談ができない状況で苦戦されています。
H その状況を改善しようというのが、フジコーポレーション、加藤さんのお仕事ですね。

3.リーダーが抱える課題を 解決に導く研修とは

K 企業が生み出す付加価値は最終的に現場で生まれている……というのがわたしの持論ですが、いま現場を指揮する中核である30半ば~40代のマネージャークラスが助けを求めています。その待ったなしの状況をサポートさせていただくのがわたしの役割です。リーダーとして、チームが担う戦略戦術をどのように組み立てていけばよいのか? 多様なメンバーで構成されるチームをどのようにファシリテートすればよいのか? メンバー一人ひとりのポテンシャルを引き出して成果に結びつけるにはどのようにコミュニケーションやコーチングを行なえばよいのか?……そうした、リーダーが担う役割を果たすためのスキルを、実際に直面している課題に対し解決を一緒に進めながら身につけていただくというサービスです。
H ファシリテーションというのは、企業、学校、地域コミュニティ等で、組織や会議などのグループ活動が円滑に行なわれるよう、中立的な立場から支援を行なうことで、日本でもようやく根付き始めました。フジコーポレーションでは、このファシリテーションの切り口を活用して、最大8名の少数のメンバーに対し、スキル指導とマンツーマンでのフォローアップコーチング面談を行なうと伺いました。
K そうですね。主に課長クラスを対象に、集合研修から始めて次にマンツーマンでのコーチング面談に入ります。ある大手ゼネコンさんの研修受講後のアンケート回答では、「これまで受けた研修は机上の論議という感じがしてどこか他人事ととらえていた。けれども今回は今の自分に直結していて、とても有益だった。研修では寝てしまうことも多いが、まったく寝なかった」というのがありました。わたしの研修ではそのように感じてくださるかたがとても多いです。というのは、わたしの研修は、どのケースにも当てはまる汎用的なものではなく、一人ひとりそれぞれが抱えている具体的な課題の解決につながるものだからです。
H 個別面談はどのようになされるのですか?
K 部下には言えない悩み、部長に相談すれば「きみは課長だろ?そんなこともわからないのか?」とネガティブに評価されてしまうような事柄を率直に相談してくださいます。皆さんとてもオープンです。そして面談をしている中で、必要なかたには、ハーマンモデル*を使った思考行動特性診断を行ないます。この行動特性は「効き脳」ともいわれるのですが、この効き脳の違いで生じるコミュニケーショントラブルを理解し、対応していくことで、個人やチーム活動の生産性や創造性を高めることができます。
H なるほど。ある企業さんからのアンケート回答に「自分を含め、一人ひとりの効き脳を客観的に診断し、自分自身や係員の力を引き出すためのアプローチが具体的ですぐ現場で役立った」とありました。相手が無意識にどのような思考行動傾向をとるのかがわかるだけで、チームの活性度もずいぶん変わりますよね。

4.解決への切り口を見出し リーダーの自信回復

K 「自分の役割と組織の中での動き方について具体的にアドバイスをもらって、迷いがなくなりました。内容を部長と共有し、目線合わせができましたので、とても有意義だった」。これは大手教育出版社さんからいただいた研修後のアンケート回答です。ご本人と部長、お互いの効き脳が対極にあり、部長から何を期待されているのか具体的に理解できなかったのですが、互いの効き脳の理解により状況が改善されました。
 わたしは、人の特性や状況に応じて、カウンセラーの役回りから、コーチ、ティーチ、そのかたに必要な処方を適宜選択してすべて対応します。通常、3ヵ月継続して取り組まれることをお薦めしていますが、小さな課題から対処すべき状況を整理し、解決への切り口を見出し、有効なツールを提供して解決行動を実践していただき、成果を確認し、軌道修正していく――課題解決に向けてPDCAを高速回転させていくわけです。
H これはフジコーポレーションにしか、というか加藤さんにしかできないことですよね。
K 人が基本的に好きで、その人を惑わしている課題を整理してサポートしたいというメンタリティーを持っていないと難しいと思います。わたしは、そうしたことが好きですので、1日中サポートをさせていただいても疲れないですね。人がつまずいているというときというのは、階段の踊り場にいる状況なんですね。その状況を一緒に整理し、解決の切り口を見つけて対処方法が理解できれば、顔が上を向きます。人は自分で解決できそうだと思うと「覚醒」します。一人ひとりの持っているポテンシャルを活かして次のステップへ進んでいくことを願っています。人って、小さな積み重ねが自信を生むんですね。次世代リーダーはここから生まれ育っていくと考えています。
H 自信のないリーダーに人はついていきません。これもアンケートの回答からですが、「複雑な関係性が多いポジションで、部下との接し方、フィードバックの仕方、関連部門や上司との接し方、コミュニケーションの取り方を、具体的な事例に基づきながらアドバイスしてもらえた」と。関係性を見極めることで自信につながったことがわかります。
K 結局、関係性の質がすべてなんですね。わたしがやっているのは、まさに向き合っている課題解決のプロセスそのものを支援すること。「こういう方法をとると今の状態がこの方向へ変わりませんか?」「じゃあ、そうやってみます」――こんなやり取りです。ですから、習得度も高いし、結果もはっきり変わる。個別面談の後、みんな晴れやかな顔をして部屋を出ていくとよく言われますね。
H 次世代リーダーのあるべき姿、その力の引き出し方、そして加藤さんのご尽力とご苦労がよくわかりました。ありがとうございます。

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